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Corpus 4

「試行錯誤を楽しみたい。楽しんで欲しい。」

「流行に乗ったものは作れないけど、みんなの好きにはなれないけど、誰かの好きになれればいいと思ってるの」というのは、かの有名なココ・シャネルの言葉……なんてカッコいいものではなく、ただの私の心もち。

 ファッションの勉強をしていた学生時代、当然自分の着る服には興味津々だった。男物のトランクスを女の子が履いて街に出たら……とか、母が使うようなヨレヨボなエプロンを短くカットしてTシャツに巻きつけてスタイリングしたら……とか。自分なりの組み合わせで生まれる形を試行錯誤して楽しんでいた。もちろん今思えば、かなりイタい失敗もたくさんしていたと思う。母には「変!」と言われて来たし……。いや、それ以前に成否じゃなくて「どうなる?」のわくわく感だけで突っ走っていた。

わくわく真っ盛りの当時は、ファッションスナップされることが多かった。雑誌毎にハントする人もやり方もバラバラ。ただとても印象に残っているのがストリート編集室のハンターだ。

彼女たちは、撮って欲しい人が近づいてこないようにするためなのか、身バレしないようにカメラを隠し持っている。なんだかそのアングラ感がカッコよかった。そもそもハンター自身がおしゃれで個性が光っていたし、そういう人に撮られることで、自分が肯定される安心感もあった。

幸いにして私たちは今、自由な人生を楽しむ時代を謳歌中。流行のあの服を着て、あのカフェ、あのレストランにいって、夏はビーチで控えめに足先だけ写真を載せちゃったり(ペディキュアも見てね♡)。

SNSのマーケティングが恐ろしいぐらいに優秀な今、自分が欲しいものを自分の脳内だけで導き出すのは正直難しい。だけど広告的刺激を消費するより、試行錯誤がハマるカタルシスはかなり気持ちがいい。しかも満足感が長引く!

ココ・シャネルもコルセットから女性を解放したときに試したのがまさかのジャージ。あれを女性に着せたらとワクワクして作ったに違いない。比較が偉大で僭越だけど、moilもそんな試行錯誤を楽しみたい人にぜひ手にとってもらいたい。ファッションて、考えるから楽しいんだよ!とSNSに載せてみる。マナー警察の方ご容赦くださいね。

 

2022.05.21